罪と罰

シアターコクーンで上演中の「罪と罰」を観てきました。


凄かったです。
20分の休憩をはさみ、上演時間だけで3時間40分です。
おかしいと思ったの。
開演前に「駐車場は22:30までなので移動をお願いします」ってアナウンスが流れていたから。
しかし、そんな時間を感じさせない、目を引き付けて離さない舞台でした。

 

発端はアコーディオン奏者の秦コータローさんに舞台のチラシをいただいたこと。
大きな舞台での演劇はもう何年も足を運んでいないし、いいきっかけになるなと発売日に頑張ってチケットを取ったのです。
はてさて、私はドストエフスキーは学生時代の課題で読んだかどうか。
アレルギー反応起こすほどの苦手分野。
ならば、せっかくなので原作を読んでから舞台に臨もうと。
しかし、それが大苦戦。
結局、上巻しか読了できなかったのですよ。

 

上巻を読み終わる頃になって、なぜこんなに苦戦したのかがやっとわかりました。
ひとえに、名前、です。
例えば主人公のラスコーリニコフは「ロジオン・ロマーヌイチ・ラスコーリニコフ」が正式名称。
しかし、「ラスコーリニコフ」と表記されたり「ロジオン・ロマーヌイチ」と表記されたり、「ロジオン」と表記されたり「ロジャー」と表記されたり。
周囲との親しさなどの関係性や場面からひとりの人物にこれだけの呼び方がある。
つまり、他の登場人物にも同じだけの呼ばれ方があるわけで。
ただでさえカタカナの羅列で記憶しづらいところに持ってきて、新たな呼び方に「この人は誰?読み落としてる?」とページを遡らなくてはならないのです。
これに苦戦。
後半になるとルールがわかってくるので読みやすくなるのですが。

お芝居は誰がどんな呼び方をしようと、役者さん本人がいるのでわかり易いですね。
ロビーにキャスト一覧もありましたし。
まだ原作をお読みでない方は、登場人物名称一覧を引いてきて、常に置きながら読むことをお勧めします。

 

さて、肝心の舞台ですが。
脚本も原作そのままなことに素直に驚きました。それでいて全く無理がない。
本当に、上巻だけでも読んでいって良かった。
何より、英国人のフィリップ・ブリーン氏による演出が素晴らしかった。
幕を下ろさずに場面を進める手法なのですが、無駄なく計算しつくされ、時に導線でバッティングがあるんじゃないかとハラハラするくらいにスピーディ。
音楽家の使い方も唸りました。

 

当初「アコーディオン弾きで出演する」と聞いたときには、酒場でアコーディオンを弾くシーンがあったから、そこかな?程度に思っていました。
どうしてどうして。
役者と同じように動き、役者の一人として演奏をする。
息遣いや効果音まで舞台の上で奏でていくのですが、これがものすごくリアルで臨場感あふれる演出になっています。
特に、殺害シーンが素晴らしかった。
役者が振り下ろす斧に合わせたナマの効果音、それに合わせて打ち下ろす水しぶき。
「水」のはずなのに壮絶な血を想像させて、とんでもないライブアートに立ち会った気分。
個人的には、ポルフィーリー・ペトローヴィチ役の勝村政信さんに唸らされましたね。
原作で私が想像していた人物像がそのまま舞台の上で動いていたので。
それから、長く重いストーリーの中で爽やかな風を吹き込むラズミーヒン役の松田慎也さんも印象的でした。

 

いやぁ、本当に素晴らしかった。
結局、勢いに乗って下巻まで読破しました。
作品として、気になるところも色々あったので、まずは「謎解き『罪と罰』」を読みます。
それから、印象的だった聖書の「ラザロの復活」も調べてみたい。
パンフレットで紹介されていた関連本で「『罪と罰』を読まない」(岸本佐知子、三浦しをん、吉田篤弘、吉田浩美)も面白そう。

 

どうやらコクーンのお芝居のチケットは完売のようですが、是非、原作や関連作品を読んでみてください。
ちょっとドストエフスキーの世界にはまっちゃいそうです。

 

 

ロビーでは関連本なども販売していましたよ!

 

Bunkamuraの地下では「ロマンティックロシア」と題した展覧会が開かれていました。